学部において所定の単位を取得することで、臨床検査技師国家資格を受験することができます。

 

臨床検査技師に関わる認定技師制度等について

 一口に臨床検査といっても目的も方法も実に様々なものがあります。その中には臨床検査技師が直接患者さんに相対して行う検査や、細胞を顕微鏡で観察して行う検査など、人の目と手による詳細な評価・判断が検査結果の主体となるものも多数行われています。これらの検査結果は診断に直結することが多く、患者さんに対する責任は重大であるがゆえに、高度な専門知識と熟練した技術・経験がもとめられます。また、分子生物学など先端の医学研究において病因・病態の解明に用いられている最新技術が、短時日のうちに医療の現場で検査として応用される時代にあって、臨床検査技師はそれらにも的確に対応しなければなりません。一方、機器による自動化が進んでいる検査においても、測定原理を正確に把握し、検査精度を厳密に管理するのは臨床検査技師の重要な役割です。このように臨床検査技師は、医療を統合する立場にある医師の業務を補完するのみならず、その分野で独立した職能として医師をもしのぐ技量が求められることがあるのです。そのため、すでに臨床検査技師の資格を持つ者を対象に、学会などの認定する資格として、あるいは国家資格として多くの専門技師の制度が実際の医療の場で運用されており、また次々と新設されています。

 

以下に臨床検査技師の有資格者のみが取得可能な専門資格、およびその他の医療職者も対象とした資格のうち主なものを簡単に説明します。詳細は各々の資格を認定する学会等のホームページにリンクしてありますので、そちらを御参照下さい。 

 

 

 | 細胞検査士(細胞検査士会)http://www.ctjsc.com/

患者さんの検体(喀痰、子宮擦過物、尿、乳腺穿刺物など)を顕微鏡で観察し、悪性細胞の検出をはじめ、様々な疾患の診断に有用な情報を提供します。しばしば癌の最終診断の根拠にもなります。臨床検査技師または衛生検査技師の資格取得後、1年以上のトレーニングを経て、日本臨床細胞学会の主催する認定試験を受けるのが一般的なコースです。試験は難しく合格率は25~30%程度です。

 

| 超音波検査士(日本超音波医学会)http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsum/

超音波によって体内の断面の画像を描出し、臓器の動きを見たり、病変を検出します。心臓、肝・胆道系、泌尿器、産婦人科、体表面の臓器などで診断、病態把握に有用な情報を提供し、しばしば診断に直結します。臨床検査技師、看護婦(士)、准看護婦(士)、診療放射線技師の有資格が、150例以上の検査経験をつんだ後、日本超音波医学会が主催する認定試験を受験します。

 

| 認定輸血検査技師(日本輸血学会)http://www.yuketsu.gr.jp/

輸血は重要な治療手段ですが、副作用・合併症をともないやすく、安全に行うことがもとめられます。本制度は臨床検査技師の中でも、特に輸血にかかわる検査を正確・迅速に行うことにより、輸血の安全性の向上に寄与することのできる技師の育成を目的として、日本輸血学会等の4団体が合同で平成7年より導入しました。受験には輸血検査歴3年、他の検査歴も含めて5年以上の検査業務経験が必要です。血液型判定、クロスマッチだけでなく、輸血業務全般の安全管理においても大きな役割を果たしています。

 

| 認定臨床微生物検査技師(日本臨床微生物学会)http://www.jscm.org/index.html

近年、様々な感染症が大きな問題となっており、医療における微生物検査の重要性が高まっています。これに対応して次々に開発される最新の技術を含めた微生物検査を的確に行い、その健全な発展普及を促すための専門技師制度として、日本臨床微生物学会等が平成16年から本格的な導入の準備を進めています。微生物の検出・診断のみならず、抗菌薬選定、感染防止対策等においても大きな役割を果たすことが期待されています。

 

| 一級・二級臨床病理技術士http://square.umin.ac.jp/ccpj/ninteiseido.htm

国家資格としての臨床検査技師制度が発足する以前から、日本臨床病理学会(現日本臨床検査医学会)が独自に実技主体の試験により資格認定を行っています。微生物学(寄生虫学を含む),病理学,臨床化学,血液学,血清学、循環生理学、神経生理学、呼吸生理学の各分野ごとの試験があります。一級は二級の上位資格で、認定には検査室の指導的技術者にふさわしい管理能力等も加味されます。

 

| 緊急臨床検査士http://square.umin.ac.jp/ccpj/cover/kinkyu/kinkyu.htm

臨床検査のうち緊急性のある検査を正確かつ迅速に行う能力を認定するものです。日本臨床検査医学会が平成3年に導入しました。

 

| 臨床工学技士(日本臨床工学技士会)http://www.jacet.or.jp/

人工心肺をはじめとする生命維持管理装置の操作や各種医療機器の保守・点検を専門に行う医療技術者で、1987年に制定された国家資格です。本資格を得るには定められた学校を卒業し国家試験を受ける必要がありますが、臨床検査技師の有資格者は修学年限が大幅に短縮されます。

 

| 認定臨床化学者(日本臨床化学会)http://www.bcasj.or.jp/jscc/index-j.html

 

| サイトメトリー技術者(日本サイトメトリー学会)http://cytometry.umin.jp/index.htm

 

| 臨床細胞遺伝学認定士(臨床細胞遺伝学認定士制度委員会)http://www.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/pediat/jshg/jshg-kakusyuiinn-saibouninteisiseidoiinkai.htm

 

| 糖尿病療養指導士(日本糖尿病療養指導士認定機構)http://www.cdej.gr.jp/

 

| 移植コーディネーターhttp://www.medi-net.or.jp/tcnet/navi/004.html

 

| 医療情報技師(日本医療情報学会)http://plaza.umin.ac.jp/~jami/

 

| 臨床エンブリオロジス 日本臨床エンブリオロジスト研究会事務局(聖隷浜松病院臨床検査センター)

 

| 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター(日本不妊カウンセリング学会)

http://www.jsinfc.com/info/index.html

 

| ME技術実力検定試験(社団法人日本エム・イー学会)http://www.jsmbe.or.jp/

 

このように臨床検査技師が取得できる資格は多数あり、活躍の場は次々に広がっています。

 

名古屋大学医学部保健学科検査技術科学専攻は上記の専門技師および専門医の資格を有する教官を多数擁し、臨床検査技師養成に必要な教育を行うだけでなく、各々の専門技師の資格を取得する上で必須の事項をも学部教育に積極的に取り入れ、幅広く高度な知識・技術を身につけた臨床検査技師の育成を目指しています。

 

また、設置予定の大学院修士課程では学内外の専門施設・部門とも連携し、専門技師の資格取得を目指したカリキュラムも計画しています。